透明ななみだ



懐かしい場所で
懐かしいものをみた。

私が高校生になって
初めて観た高校演劇は
その後も新入生歓迎公演として
代々同じ演目がやられておりまして。

で、今年もやるというので、お稽古を覗きに行きました。

言葉も
音楽も
匂いも 全て懐かしくって。

私の心には、当時演じていた先輩方の声や顔や一挙手一投足が焼き付いているのです。今でも。
当時、本当に衝撃的でしたの。
「裏方だけでもいいなら、入ります」
と、観たその場で決めて入部しました。

狭い教室いっぱいに悲しみやおかしみや喜びが満ちていて、幸せな空間でした。
本当に素晴らしかった。

今、後輩たちがその作品を試行錯誤しながら創作しています。
私の代だけは人数が多すぎてやっていない作品なので、なんだか皆が羨ましくもあります。

帰りがけ、何人かと立ち話をしていました。
色々な悩みを抱えながら
仲間を大切に想い
ぽろぽろとこぼれてくる彼らの言葉に
若々しいキラキラしたものを感じて
私も確かに此処でこの時期を過ごしたのだと懐古しました。
そして今、同じ時間を共有出来ることに感謝しました。

あの頃に戻るなんて出来ないけれども
あの頃の私を励ますことは出来るのかもしれない。



大西 玲子

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