3月3日



3月3日ですね。
桃の節句。
女の子のお祝いの日。

蝶よ花よと育てられた私は
桃の節句には欠かさずお祝いをしてもらったものです。
何のお祝いなんだろう?と思った事はありませんでした。

3年前、高校の恩師が小説を原案に創作劇に取り掛かるとの事で、私も何かお手伝いできないものかと読みました。
重松清さんの短編集『ビタミンF』の表題作。
『セッちゃん』という題名で演劇になり、この作品は県大会出場後、高校演劇サマーフェスティバル2013に推薦され上演を重ねました。
若い俳優たちのビビットな感性と幻想的な明かり、音、薄に囲まれた教室とリビング、全てが相まって、揺さぶられる作品でした。
フェスでは新一年生もシーンに加わって、転換に出てくる俳優が狐のお面をつけて身体を変化させていたのも素敵だったなぁ・・

逸れましたが・・この小説で初めて知ったのが、“流しびな”という風習です。
平安時代の“上巳の祓い”という、陰陽師によるお祓いから受け継がれ、自分の生年月日を書いた紙の人形に、自身に降りかかる災難を移らせて川に流す厄払いだそうです。
今でも下鴨神社でこの“流しびな”という行事が行われています。
これは、もっとずっと遡ると、生まれて間もない女の子の亡骸を清めて水葬した事に由来する、とも言われています。

いつの世も、子や孫、ひ孫と、代々新しく育まれてゆく命を大切に想う心は変わらない。
と、信じたい。
言い切れない程悲しい事も溢れているけれど。

目の前にある命を、貴く思い大事にしたい。
祖父母、父、母、弟、
そうしてあなたがあなたに辿り着くまでの命のことを。



大西玲子

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